2026年10月22日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領によって、通商拡大法232条に基づく布告「Adjusting Imports of Wind Turbines and Their Parts and Components into the United States」の発表がありました。(布告)
- 商務省の232条調査を受け、風力タービンと部品の輸入が国家安全保障上の脅威になると認定
- 新たな関税は課さず、商務長官とUSTR代表に外国との交渉を命じ、180日以内の進捗報告を求めた
- 交渉の結果次第で他の措置を検討する余地を残し、鉄鋼・アルミ・銅の既存関税は変更しない
ホワイトハウスによると、トランプ大統領は2026年10月22日、風力タービンとその部品・構成部品の輸入に関する布告に署名した。商務長官が、通商拡大法232条に基づく調査の報告書を過去90日以内に大統領へ提出し、これらの輸入が米国の国家安全保障を損なうおそれのある状況で行われていると認定したことを受けたものだ。連邦官報によれば、商務省は2025年8月13日にこの調査を開始し、同年9月9日を期限に意見を募っていた。大統領は商務長官の認定に同意したうえで、関税の発動ではなく、外国の貿易相手国との交渉で輸入を調整する道を選んだ。
布告は、商務長官の主な認定として次の点を挙げている。風力は不安定で断続的なエネルギー源であり、系統の運用者は出力変動を補うため、素早く出力を変えられる化石燃料の予備発電機に頼らざるを得ず、運用費と保守の負担が増す。風力発電に使う資源が、より信頼できるエネルギー源の強化に回らなくなる。海外製のインバーター(風車の発電を電力網向けに変換する機器)はネットワークにつながっており、遠隔操作による電力供給の妨害や設備の破壊に悪用されるおそれがある。また、風車は地上・航空レーダーに「クラッター」と呼ばれる雑音を生じさせ、航空管制、気象予報、国土安全保障、国防に支障をきたす。さらに、風力部品の輸入は過去10年で増え、ブレード(羽根)などの国内生産能力は大きくは伸びていないという。これらは商務長官の認定として布告が記したもので、風力業界や専門家の反応は、今回確認できた報道には含まれていなかった。
布告の措置は4点である。第1に、商務長官と通商代表部(USTR)代表が、適切と判断する貿易相手国との間で、脅威に対処する協定の交渉を進める、または継続する。対象国は特定されていない。第2に、両者が交渉の状況を随時報告し、少なくとも1回は布告の日から180日以内に報告する。第3に、商務長官が風力タービンと部品の輸入を引き続き監視し、追加措置が必要になりそうな事情があれば報告する。第4に、既存の232条関税を変更しない。ロイターは、この布告が新たな関税を課すものではなく、交渉の結果次第で他の措置を検討する可能性があると報じた。Bloombergは見出しで、風力タービン関税の先送りと表現している。布告は、232条に基づく協定交渉を行う場合でも、180日以内に協定が結ばれない、または協定が実施されない、効果がないときには、大統領が関税を含む他の措置をとれると説明している。
風力タービンの部品には、すでに別の232条関税がかかっている。布告は、アルミニウム、鉄鋼、銅の232条関税(布告9704、9705、10962)の対象となる風力部品があることを指摘し、これらの関税は変更しないとしている。業界紙によれば、商務省は2025年8月に、風力タービンとその部品を鉄鋼・アルミニウム関税の対象製品に追加し、鉄鋼とアルミニウムの含有分に50%の関税をかけていた。どの部品にどの程度の関税がかかるかは、品目ごとの確認が必要である。
今回の布告では、関税率の引き上げや新たな品目の追加は示されていない。














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