2026年10月22日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領によって、住宅の取得・保有にかかるコストの引き下げを目的とした大統領令「Decreasing Housing Costs for the American People」の発表がありました。(大統領令|Fact Sheet)
- 大統領が10月22日、住宅ローン保険料や借り換え費用の引き下げを指示する大統領令に署名した
- FHFAに、市場価値に基づく住宅ローン保険の自動解約パイロットと所有権保険免除の恒久化を指示
- 工場生産住宅のタスクフォースを新設し、農務省と退役軍人省に直接融資の金利引き下げを求めた
ホワイトハウスは2026年10月22日、トランプ大統領が一戸建て住宅の取得費用と住宅ローンのコストを下げ、住宅市場のイノベーションを促す大統領令に署名したと発表した。Fact Sheetは柱として、①連邦住宅金融庁(FHFA)による住宅ローン保険料の自動解約パイロット、②工場生産住宅のタスクフォース設置、③所有権保険(タイトル保険)の免除パイロットの恒久化、④農務省と退役軍人省による直接融資の金利引き下げ、の4点を挙げている。
大統領令の目的規定は、住宅ローンの組成を妨げる規制上の障壁を減らすこと、「スーパーインテリジェンス」を取り入れたリスク・価値評価技術を活用してコストを下げること、住宅・住宅ローン市場の競争とイノベーションを促すことを政策とするとしている。
第2条は、FHFA長官が、ファニーメイとフレディマック(2社)と米国民の利益になると判断した場合に、2社に対してパイロットを設けさせるものだ。2社が保有・保証・証券化する一戸建てローンを定期的に見直し、自動評価モデルなどで現在の市場価値を推定して、住宅ローン保険の解約に必要な自己資本(エクイティ)などの要件を満たしていそうな借り手を見つける。要件を満たすと判断すれば、保険を自動的に解約する。サービサー(ローン管理会社)には、解約できる可能性を借り手に速やかに通知させ、書類の要求や鑑定費用などの負担を減らすよう求める。Fact Sheetは「適格な米国民の大きな月額負担をなくす」としているが、大統領令の条文では、対象はパイロット設立後に組成される住宅ローンに限られる。第4条は、2社が貸し手の所有権保険の代わりに自動の権原審査を受け入れる借り換え向けパイロットを、全米の継続プログラムに拡大するよう長官に求める。長官は、現在80%に設定されている借入比率(LTV)の上限を超える案件への適用、地域制限の撤廃、審査事業者の追加認定、月々の返済額が減る限定的なキャッシュアウト再融資での鑑定・所得再確認の免除、2社の手数料の引き下げ・撤廃を検討する。節約分は借り手に還元させ、貸し手に伝えさせる。
業界メディアHousingWireによると、ファニーメイの所有権保険の免除パイロットは、2024年3月にバイデン前大統領が一般教書演説で「ジャンク・フィー(不当な手数料)」対策として発表した。対象は借入比率80%未満の一部の借り換えで、地域も限られている。所有権保険業界は、この呼び方に反対し、住宅市場のリスクが高まると主張してきた。一方、投資銀行KBWのアナリストは、パイロットの規模は非常に小さく、借り換えは所有権保険業界の収入の10%未満のため、拡大しても業績への影響は大きくないとみている。第3条は、住宅都市開発省(HUD)長官とFHFA長官が共同議長を務める「工場生産住宅イノベーション・タスクフォース」を設け、農務、商務、退役軍人の各長官も参加させる。180日以内に、仕様・認証・検査の相互承認、重複審査の撤廃、連邦の融資・保険・保証権限を使った生産の後押し、競争の促進などの勧告を大統領に提出する。連邦補助金を、州・地方による許可・免許の標準化と結びつけられるかの検討と、法制化に向けた提言も求めており、3月13日付の大統領令14394(住宅建設の規制障壁の撤廃)の指針と整合させるとしている。第5条は、農務長官と退役軍人長官に対し、関連法と予算の範囲内で、両省が直接貸し付ける一戸建て住宅ローンの金利を引き下げるよう求めている。引き下げ幅は示されていない。
Fact Sheetは、2026年1月に大手機関投資家による一戸建て住宅の購入を禁じる大統領令に署名したことや、2社に2,000億ドルの住宅ローン担保証券を購入させたこと、3月の大統領令で住宅ローンの規制負担を減らしたことなど、これまでの取り組みを列挙している。
また、H-1Bビザの乱用や不法移民への取り締まりが住宅価格や家賃を下げたと主張しているが、その効果を示す数字は挙げていない。大統領令は、実施は関係法令と予算の範囲内で行うとしており、新たな権利を生むものではないとも定めている。パイロットや拡大の多くは、FHFA長官の判断や、2社の財務の健全性との整合を条件にしている。
ニュースサイトSemaforは、FHFAのパルテ長官が早期の署名を求めた一方、政権内には慎重な意見もあり、住宅関連団体は一部の変更が価格を押し上げる可能性を懸念していると報じた。Bloombergは見出しで、中間選挙前の住宅コスト対策と位置づけている。
保険料の削減額や対象となる借り手の数は、現時点では示されていない。












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