2026年8月10日、The Boeing Company(NYSE: BA)とArcher Aviation Inc.(NYSE: ACHR、創業者兼CEO:アダム・ゴールドスタイン)によって、両社が正式契約を締結し、ArcherがボーイングのWisk Aero・Insitu・SkyGridの3子会社を買収するという発表がありました。(プレスリリース)
- 自律飛行技術・ドローン・空域管理ソフトの3社を買収しボーイングはArcher株19.75%を取得する。
- ボーイングは今後4年間で追加株式を取得できるオプションや取締役指名権も得るとしている。
- ボーイングは2027年3月末までにArcherの次回資金調達ラウンドで最大5,500万ドルを追加出資するという。
今回の取引により、Wisk Aero(電動垂直離着陸機/eVTOLメーカー)、Insitu(ドローン企業)、SkyGrid(航空管制ソフトウェア企業)の3社がArcherの傘下に入るとしている。ボーイングが受け取るArcher株式は、クラスA株式の19.75%にあたり、今後4年間にわたり追加株式を取得できるオプションも付与されるとしている。
あわせてボーイングは、2027年3月31日までのいずれかの時点で、Archerの次回資金調達ラウンドにおいて最大5,500万ドル分の株式に出資することにも合意したとしている。取引は2026年内の完了を見込んでおり、規制当局の承認などの通常の完了条件が前提になるとしている。
取引の一環として、ボーイングとArcherは協業・技術共有の枠組みも構築するとし、ボーイングは現行および次世代の商用・防衛用航空機向けに、Wiskが持つ中核的な自律飛行技術へのアクセスを引き続き保持するとしている。
この取引はボーイングにとって、Archerへの出資を通じて将来的な収益機会を保持しつつ、経営資源を中核事業へ振り向けられる内容だとし、ボーイング商用機部門プロダクト開発担当バイスプレジデントのブライアン・ユトコ氏(Wisk前CEO)は、この取引がボーイングとArcher双方にとって「ウィンウィン」であり、Wisk・SkyGrid・Insituの能力開発と製品化を加速させる一方、ボーイングがこの20年間にわたるこれら技術への投資を、自社の中核事業における継続的な開発を通じて生かせるようにするものだとの考えを示している。
Archer創業者兼CEOのアダム・ゴールドスタイン氏は、今回の取引が同社にとって多角化されたプラットフォーム企業への転換を進め、収益基盤を急速に拡大し事業の規模を広げるための次なる大きな一歩だと述べている。買収する3社はそれぞれ異なる強みをもたらすとされ、Wiskは16年間で6世代にわたる自律型eVTOLを開発し1,700回超の試験飛行を実施してきたとし、2022年にはボーイングから4億5,000万ドルの出資を受けているという。ドローン大手のInsituは年間2億ドル超の売上を35カ国で計上しており、これまでに4,000機超のドローンを生産してきたとしている。SkyGridは自動化が進む空域を管理するためのソフトウェアを提供しているという。
今回の買収は2021年の対照的な経緯を経たもので、当時WiskはArcherに対し、営業秘密の窃取や特許侵害を主張して提訴し、当時エンジニアリング担当バイスプレジデントだったArcherの現最高技術責任者トーマス・ムニス氏が、Archer入社前にパソコンの閲覧・ダウンロード履歴を消去したなどと主張していたとしている。両社は2023年8月に非公開の金額で和解し、先進的な空の移動サービス(AAM)分野での協業に向けた提携契約も締結したとしている。この和解の際、ArcherはWiskを新型機向けの自律技術の独占供給元とすることにも合意していたという。
Archerは電動エアタクシー事業を主軸としつつ、防衛分野への航空機ポートフォリオの多角化も進めているとしている。2026年7月には、防衛スタートアップのAnduril社と共同開発する自律航空機2機種「Halo」と「Thunder」を英国のファーンボロー国際航空ショーで公開したとしている。Haloは商用・防衛双方での利用を想定した自律型VTOLで、商用では主に貨物輸送や捜索・救助任務での活用を見込んでいるという。
Thunderは自律型の攻撃用ドローンだとしている。ゴールドスタイン氏は、今回の3社買収、特にWiskの獲得により、自力で同等の成果を上げていた場合に比べてはるかに短い期間でHalo・Thunderの各プログラムを加速できるとし、電動エアタクシー事業やAI基盤に加えてInsituなどの収益力も取り込むことで、Archerはもはや単なるエアタクシー企業ではなくなったとの考えを示している。
ボーイングにとって今回の売却は、2024年8月に就任したケリー・オートバーグCEOのもとで進める事業再編の一環に位置づけられるとしている。2025年には、フライトプランニング事業のジェプセンなどデジタル航空サービス事業の一部をプライベートエクイティのThoma Bravoに105.5億ドルで売却したほか、機体メーカーのSpirit AeroSystemsを84億ドルで再買収し、各国政府の規制対応のため一部資産をエアバスへ売却するなど、商用・防衛・宇宙の中核事業に経営資源を集中させる方針を進めてきたとしている。
なお、ボーイングは2026年内に737型機500機、787型機90〜100機の納入を目指しているとし、2026年8月3日には米連邦航空局(FAA)が新型737-7の商用運航に向けた型式証明を承認したとしている。













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