2026年8月13日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領によって、無人航空機システム(UAS、いわゆるドローン)およびその部品の輸入について、通商拡大法232条に基づき関税を賦課する大統領布告に署名するという発表がありました。(大統領布告|ファクトシート)
- 最大離陸重量25kg超のドローンや熱赤外線カメラ搭載機などに100%の関税を課す。
- 日本・韓国・台湾・スイス・リヒテンシュタイン・EU加盟国は15%を上限に優遇される。
- 米国内に新工場を建設する企業には関税を免除するオンショアリング奨励制度を設ける。
布告によれば、商務長官は過去90日以内にUASおよびその部品の輸入が国家安全保障に与える影響についての調査報告書を大統領に提出し、これらの輸入が国家安全保障を損なう恐れがあるとの見解を示したうえで、関税による輸入調整措置を勧告したという。商務長官の調査は、UASが現代の武力紛争における主要技術であり、低コストのドローンがはるかに高価な兵器システムや施設に重大な損害を与えられる点や、法執行・科学研究・環境監視・測量・監視・農業・災害対応・捜索救助など行政機関による幅広い用途、重要インフラ防護、民間企業や州・地方自治体による農業・緊急対応・通信・エネルギー・建設・輸送配送などへの活用を踏まえ、UASが国家・経済安全保障に不可欠だと結論づけたとしている。
商務長官はまた、米国内で生産されるドローンであっても、モーターや電子速度制御装置、リチウムイオン電池、ドッキングステーションといった重要部品の多くを海外に依存しており、これが看過できない安全保障上の脆弱性を生んでいると指摘している。加えて、一部の外国企業のドローンやその部品には、工場出荷時のOSに組み込まれた仕組みによって操作者が制御できない形でデータが製造国の企業へ送信される情報セキュリティ上のリスクがあるとし、国内産業の生産能力も現状では戦時の急増需要を含む安全保障上の需要に十分応えられていないとの見解を示したという。
これらを踏まえ大統領は、最大離陸重量25kgを超えるドローン、熱赤外線カメラを搭載したドローン、ドローン用ドッキングステーション、および付属書Iに列挙された重要部品について100%の従価関税を、最大離陸重量25kg以下のドローン(付属書II)について25%の従価関税を課すと決定した。付属書IIIに列挙された一部のドローン部品については、国内生産への移行を促す猶予期間として、布告から180日後(2027年2月9日)に25%の関税を発効させるとしている。関税は付属書IVに基づき米国関税率表(HTSUS)を改定する形で実施され、付属書I・IIの対象品目は2026年9月3日午前0時1分(東部時間)から適用される。
一方、日本・韓国・台湾・スイス・リヒテンシュタイン・EU加盟国を原産とする製品については、重要部品・技術のほぼすべてが米国またはこれらの国・地域の産品であると輸入業者が証明した場合に限り、関税率が15%(HTSUS第1欄の税率を含む)を超えないものとするとしている。英国産品についても同様の証明を条件に上限を10%とするという。国防総省の「Blue UASクリアリスト」またはブルーUASフレームワーク、あるいは連邦通信委員会(FCC)の条件付き承認リストに2026年9月2日時点で掲載されている企業・製品については、対象品目・部品の適用開始が布告から180日後まで猶予されるとしている。
また、米国内にドローンおよび部品の新規生産施設を建設する企業を対象とした「オンショアリング奨励プログラム」の創設を商務長官に命じている。2029年1月20日より前に着工することなどを条件に商務長官の承認を受けた企業は、施設が稼働するまでの建設期間中、想定される年間生産量に見合う範囲で、サプライチェーン向け部品や生産設備を232条関税を課されずに輸入できるという。商務長官はこのほか、対象品目が国家安全保障上の脅威を助長すると判断した場合、随時追加のドローン部品を関税の対象に加える権限を持つとしている。
なお、関税還付(ドローバック)については、英国・EU・スイス・リヒテンシュタイン・日本・韓国・メキシコ・カナダなど「貿易協定パートナー」の産品で、その内容の85%以上が同パートナー諸国の産品である場合に限り認められるとしている。今回の措置は、通商拡大法232条および貿易法1974年604条に基づくものだとしている。









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