2026年10月28日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領によって、ロボット、産業機械、およびその部品の輸入に関する、通商拡大法232条に基づく布告の発表がありました。(布告|Fact Sheet)
- トランプ大統領が232条に基づく布告に署名し、ロボット、産業機械、その部品の輸入が安全保障を損なう恐れがあると認めた
- 関税は今回課さず、商務長官と通商代表に各国との協定交渉を指示した。進捗は180日以内に報告させる
- 交渉が不調なら、関税、数量割当、手数料や国内投資の優遇策を検討する。対象の国は限定されていない
トランプ大統領は2026年10月28日、通商拡大法232条(Section 232)に基づく布告「Adjusting Imports of Robotics, Industrial Machinery, and their Parts and Components into the United States」に署名した。布告によると、商務長官は過去90日以内に、ロボットと産業機械、およびその部品・構成品(以下、部品)の輸入が国の安全保障に与える影響の調査結果を大統領に提出した。長官は、これらが国の安全保障を損なう恐れがある量と状況で輸入されていると認め、大統領もその認定に同意した。報告書の提出日は、布告に書かれていない。
布告は、認定の理由として長官の調査結果を挙げる。ロボットと産業機械は、航空機、戦車、艦船、兵器、弾薬などの防衛装備の生産を支え、16の重要インフラ部門で使う製品や部品の製造に使われる。自律型、人型、四足型のロボットや無人の地上車両といった高度なロボットは、情報収集・監視・偵察や、負傷者の搬送、地雷の探知・除去で軍を支援するとされる。
2024年には、これらが約7.1兆ドルの製造品の出荷と、約860億ドル相当の設備の生産を支えたという。米国は、消費する量より少ない量のロボットと産業機械しか生産しておらず、ほとんどの種類を輸入に頼る。外国の事業者から調達する製品には、機密データを処理することで、重大なサイバーセキュリティ上の弱点が生じうるとも指摘する。Fact Sheetも、米国の製造業への投資が最近増えたのに、需要の増加に応じる能力が不足していると説明している。
布告の措置は、関税ではなく交渉となる。商務長官と通商代表(USTR)は、両者が適切と考える任意の貿易相手と、協定の交渉を共同で進めるか、現在の交渉を続け、180日以内に進捗を大統領に報告する。交渉の状況や結果によって、大統領は将来、関税、課徴金、数量割当、手数料の導入や変更、米国内の生産への新たな投資を促す制度の設置といった別の対策も検討するとしている。232条の規定により、180日以内に協定が結ばれない場合や、実行されない場合、効果がない場合には、大統領はほかの措置を取ることもできる。商務長官は、輸入の状況を引き続き監視し、追加の措置が必要になりうる事情を大統領に知らせる。
今回の布告の本文には、関税率、対象の品目の一覧、発効日は書かれていない。特定の国への言及もなく、日本を含め、どの国が交渉の対象になるのかは示されていない。
Fact Sheetは、第1期にトランプ大統領が232条を鉄鋼とアルミニウムに使ったことに触れ、再任後は、鉄鋼、アルミニウム、銅、自動車、トラック、木材、半導体、医薬品、ポリシリコン、ドローンなどに、関税の導入や強化を行ってきたと説明する。外国との交渉と関税の戦略的な活用を通じて、数兆ドルの民間と外国の投資を確保したとも述べているが、数字の根拠は示されていない。なお、232条の調査は、2025年9月に始まったと報じられているが、布告には開始日の記載がなく、本稿は確認していない。














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