2026年7月23日、ニュージャージー州(知事:ミッキー・シェリル)によって、消費者の個人データに基づき価格を変動させる「監視型価格設定(サーベイランス・プライシング)」を禁止する「Fair Price Protection Act」に署名するという発表がありました。(記事)
- 個人データに基づき食料品の価格を変動させる監視型価格設定が州法で禁止された。
- 電子棚札の新規設置は1年間のモラトリアム対象となり違反時は5万ドル以上の賠償対象となる。
- 州経済団体NJBIAはロイヤルティプログラムやクーポンの消滅につながりかねないと反発している。
シェリル知事は木曜日、ニューアーク市サウスワードにある非営利団体クリントン・ヒル・コミュニティ・アクションが立ち上げた食料品協同組合「Our Community Grocery Store」内で、州下院議員チゴジー・オニェマ氏(民主党・第28選挙区)と州上院議員ジョセフ・クライアン氏(民主党・第20選挙区)が提出した法案A-4085/S-3612に署名した。この法律は、個人データに基づき食料品の販売価格を変動させる価格戦略を禁止するとともに、新規の電子棚札設置に対して1年間のモラトリアム(一時停止)を課す内容となっている。
シェリル知事は署名前の記者会見で、値引き自体は問題ないが、監視に基づく上乗せ価格でコストを押し上げることは認められないと述べ、企業がプライバシーを侵害して利益を得ようとした場合は州の消費者詐欺法のもとで責任を問われることになるとした。また、電子棚札についても、店舗が曜日や時間帯によって消費者により高い価格を請求していないかを確認するため、その影響を調査する1年間の一時停止を設けたと説明している。
これに対し、ニュージャージー州経済団体(NJBIA)のミシェル・シーカーカ会長兼CEOは、法律の意図には理解を示しつつも、消費者保護と店舗の業務効率化を両立できたはずが「偽りの二者択一」を迫る内容になっていると批判した。知事や法案提出者は、この法律がロイヤルティプログラムや割引そのものを禁止するものではないと説明しているが、シーカーカ氏は、実際にはそうしたプログラムの縮小につながりかねないと指摘している。
シーカーカ氏は、生活費高騰が続く中でこの法律は消費者が頼りにしているコスト削減策そのものを損ないかねないとし、ニュージャージー州にはすでに強力な消費者保護規定や単価表示ルールが存在するにもかかわらず、政策担当者は迅速かつ効率的に価格を伝えようとしているだけの州内企業をさらに悪者扱いする形で規制を一歩進めたと述べた。
法律は、既存の電子棚札の修理・交換は認める一方、新規設置のみを1年間禁止する。モラトリアム期間中は、ニュージャージー州イノベーション庁が消費者問題局と協議のうえ、電子棚札が監視型価格設定に与えうる影響について調査を行うという。違反があった場合、州司法長官が民事訴訟の提起や差止命令の請求、順守の強制、損害賠償その他の救済を求める権限を持ち、違反1件につき実損害額または5万ドルのいずれか高い方の賠償が科される。
法案の上院提出者であるクライアン氏は、ニュージャージー州の消費者価格保護法が他州にとっての全国的なモデルになることを期待すると述べた。一方シーカーカ氏は、この法律もまた、ニュージャージー州がビジネスにとって特異な存在になっている一例だとし、事業を営み将来への投資を行う企業には予見可能性が必要な中で、州のビジネスルールがまたも変更され不確実性を増していると懸念を示した。













コメントを残す