2026年8月20日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領によって、国家宇宙輸送政策を全面的に刷新する国家安全保障大統領覚書(NSPM-17)に署名するという発表がありました。(大統領覚書|ファクトシート)
- 2030年までに年間1,000回超の打ち上げ・再突入に対応できる体制構築を目指すとしている。
- 2013年の旧国家宇宙輸送政策(大統領政策指令26号)を撤廃し新方針に置き換えるとしている。
- 政府の宇宙輸送需要は原則として商業サービスを優先するとしている。
覚書は、宇宙への・宇宙からの・宇宙内でのアクセスが国家・経済安全保障上の重要な利益であるとし、米国は準軌道・超低軌道から月面、ラグランジュ点、深宇宙に至るあらゆる軌道領域へのアクセス能力を確立・維持する必要があるとしている。2030年までに年間1,000回超の打ち上げ・再突入に対応できる体制を構築するとし、この覚書は2013年の大統領政策指令26号(旧・国家宇宙輸送政策)を撤廃し、新たな方針に置き換えるものだとしている。
打ち上げ・再突入インフラについては、国防長官とNASA長官が連邦の打ち上げ・再突入用施設を政府・民間利用者双方に開かれた形で透明性をもって運営するとし、関係省庁には、インフラ整備機会の定期的な検討、リースや商業投資・官民連携を通じたインフラ共同開発の促進、商業利用者の連邦施設への利用円滑化、許認可・環境審査の迅速化、公正で透明性のある費用回収方針の策定を求めている。
運輸長官には180日以内に、追加の打ち上げ施設候補地の特定や、宇宙打ち上げ・再突入管理の航空管制近代化への統合、重要な打ち上げ回廊向け優先空域の指定を求めている。内務長官には90日以内に追加の連邦再突入用地の特定を、商務長官・連邦通信委員会(FCC)には周波数帯へのアクセス確保を、それぞれ求めているとしている。
宇宙輸送産業基盤については、大統領科学技術担当補佐官(APST)が関係省庁と連携し、180日以内に、活気ある競争力の高いレジリエントな宇宙輸送産業の維持・促進、政府・民間双方の需要に応える能力・費用対効果・安全性・レジリエンスの向上、人材育成・定着プログラムや軍からの転身経路の強化を柱とする産業基盤戦略を策定するとし、同戦略は2年ごとに見直すとしている。
市場アクセスに関しては、国務長官・商務長官が120日以内、以降2年ごとに、米国の宇宙輸送能力・基準の海外普及や知的財産保護を目的とした輸出政策と、同盟国・パートナー国への技術輸出を可能にする輸出管理の両面を見直すとしている。
国際協力に関しては、APSTと国家安全保障担当補佐官(APNSA)が、外国の宇宙機を商業目的で米国内から打ち上げまたは再突入させる要請を個別に審査し、必要な情報受領から60日以内に大統領へ勧告するとしている。判断にあたっては、米国の外交・安全保障・不拡散上の利益との整合性、米国宇宙産業基盤の競争力への影響、検証可能な対米直接投資、打ち上げ・再突入に伴う責任・補償の引き受け状況、連邦打ち上げ施設の可用性への影響を考慮するとしている。
米国政府の宇宙輸送に関しては、一定の例外(資金の授受を伴わない国際協力プログラム、比較可能な米国の打ち上げサービスがない副次的な技術実証・科学ペイロード、米国以外が所有する宇宙機への相乗り搭載)を除き、政府のペイロードは米国製の機体で打ち上げ・輸送することを原則とするとしている。
国防長官・NASA長官には、政府機関向けの信頼性・費用対効果の高い宇宙輸送サービスの確保、商業宇宙輸送サービスの優先、公共の安全・国家安全保障上必要な場合を除き商業活動を妨げないこと、複数の打ち上げ手段の確保、危機時の迅速な能力復旧技術の開発などを求めている。NASA長官には月面への商業輸送を可能にする物流アーキテクチャの構築、火星への商業ロボット・有人アクセスの検討を、国防長官には軌道上サービスや宇宙内物流など宇宙内輸送サービスの追求、スペースプレーンを含む多様な輸送手段の拡充を、それぞれ求めているとしている。
ファクトシートによれば、トランプ大統領は歴代初となる宇宙軍の創設を主導したとし、第1期政権では7件の宇宙政策指令に署名しアルテミス計画による月面再訪や商業宇宙規制改革、宇宙システムのサイバーセキュリティ原則策定などを指示してきたとしている。
2026年4月には50年超ぶりに宇宙飛行士を月周回軌道に送るアルテミスII計画を実施したとし、2025年8月には商業宇宙産業の競争促進に関する大統領令、2025年12月にはアメリカ・ファーストの宇宙政策のビジョンを示す大統領令に署名し、2026年7月には連邦航空局(FAA)が打ち上げインフラに関する環境審査の負担軽減に向けた規則案を発表するなど、一連の施策を積み重ねてきたとしている。












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