2025年9月3日、アメリカ連邦地裁によって、トランプ大統領率いる政権がハーバード大学に対して実施していた約22億ドル(約3,200億円)の研究助成金の凍結措置が違憲であると判断されました。
この裁定は、学問の自由と言論の自由をめぐる重要な判例として注目されています。
- トランプ政権による研究資金凍結措置は違憲で無効と連邦判事が判断。
- 理由は「イデオロギーに基づいた制裁であり、言論の自由を侵害した」と指摘。
- ホワイトハウスは「直ちに控訴する」と表明し、決着は最高裁に持ち越される可能性も。
今回の裁定は、マサチューセッツ州ボストンの連邦地裁アリソン・バローズ判事によって出された。
判事は84ページにおよぶ判決文の中で、「資金凍結命令と契約解除通告は合衆国憲法修正第1条(言論の自由)に違反する」と明記。
加えて、「行政手続法(APA)」および「連邦民権法第6編(Title VI)」にも違反するとした。
この研究資金は、ハーバードが米政府と契約して実施していた多数の研究プロジェクトに使用され、凍結によって結核やALS(筋萎縮性側索硬化症)、NASA宇宙飛行士の放射線研究、退役軍人の自殺予測AIモデルなどが中断されたとされている。
凍結は2025年4月14日に発表されたものの、その直前、トランプ政権はハーバードに対して「10項目の改革要求」を提示。そのうちの1項目のみが反ユダヤ主義(アンチセミティズム)への対応で、残りは「多様性・公平性・包括性(DEI)プログラムの終了」「入学者や教職員の思想スクリーニング」「教育内容の変更」など、大学の運営方針に対する政治的干渉と見られる内容だった。
バローズ判事は、こうした要求が拒否された直後に資金凍結が行われた点を指摘し、「アンチセミティズムは表向きの理由にすぎず、真の目的はイデオロギーに基づいた制裁である」と明言。
また、判事はハーバードに対して「アンチセミティズムに対しもっと早く、より積極的に対応すべきだった」と指摘しつつも、「研究内容とアンチセミティズムの問題には本質的な関連性がなかった」ことを認定。政府の措置は「政治的報復」であり、「学問の自由を侵害した」と結論づけた。
ホワイトハウスと大学の反応
トランプ政権はこの判決に対し猛反発。
ホワイトハウス副報道官リズ・ヒューストン氏は、「この判決は憲法違反だ。ハーバードには納税者の金を受け取る権利はない」と述べ、直ちに控訴すると発表。
一方、ハーバード大学のアラン・ガーバー学長は、「今回の判決は、大学の言論・手続き的権利を明確に支持するものだ」と述べ、司法の判断を歓迎。
また、「政府が私立大学に対し、教育内容、入学者の選定、教職員の採用を強制するべきではない」と強調した。
なお、トランプ政権は、今回の資金凍結以外にもハーバードに対して次のような圧力をかけてきた:
- 大学の特別非課税ステータスの取り消し
- 連邦資金による研究から生まれた特許の差し押さえ
- 将来的な助成金の申請資格剥奪の示唆
また、トランプ氏は資金解凍にあたり、「最低でも5億ドルの支払いを求める取引」をハーバードと交渉中とも報じられている。
他大学との違いと今後の影響
今回、ハーバードは提訴して全面勝訴しましたが、同じく非難の対象となっていたコロンビア大学、ペンシルベニア大学、ブラウン大学は、司法判断を避けて政権と和解交渉を選択した。
この判決は、今後の大学と政府の関係性、特に連邦資金を受ける高等教育機関の自由に大きな影響を与えると見られている。
また、控訴審に進んだ場合は、最高裁による判断がアメリカ全体の学問の自由の基準を再定義する可能性もある。











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