2026年8月25日、米国土安全保障省(DHS)によって、H-1Bビザのキャップ対象請願に対し既存費用に加えて10万3,265ドルの新規手数料を課す規則案を連邦官報に公示するという発表がありました。(連邦官報掲載規則案)
- 新規手数料($103,265)はキャップ対象のH-1B請願すべてに適用される規則案であり、現在は確定していない。パブリックコメント期間は2026年9月24日までで、確定・発効には最終規則の公布が別途必要だとされている。
- DHSは同時期にキャップ免除資格の見直し(大学・非営利研究機関等の免除縮小の可能性)と、H-1B労働者を他社サイトに派遣する第三者配置への監督強化を含む別の規則案をOMBに送付したとしている。
- 在米日系企業の人事担当者にとっては就労ビザスポンサー費用の大幅増加と手続きの厳格化が同時進行する可能性があり、早期の対応策の検討が求められる状況となっている。
DHSが2026年8月25日に連邦官報に公示した規則案は、H-1Bの年間キャップ(通常枠6万5,000件+高度学位免除枠2万件の計8万5,000件)の抽選を経て採択された請願のすべてに対し、既存の申請費用に上乗せして10万3,265ドルを徴収するというものだ。キャップ免除申請(大学・非営利研究機関・政府系研究機関が提出するもの)、延長・雇用主変更など抽選を経ない申請には適用されないとされている。
DHSは年間8万5,000件の申請を前提に約88億ドルの歳入を見込み、USCIS・司法省・国務省・労働省・ICE・CBPの各機関の移民行政コスト回収に充てるとの考えを示している。
本規則案はパブリックコメント期間終了(9月24日)後、コメントへの対応・最終規則公布・発効日の設定という複数の手続きを経て初めて効力を持つため、現時点では何ら費用の支払い義務は生じていない。DHSは規則案の中で、同手数料が中小企業を含む多くの雇用主に重大な経済的影響を及ぼす可能性を認めており、FY2025のキャップ対象申請を行った中小事業者の76%にあたる約1万1,000社が影響を受けると試算している。
一方、DHSはキャップ免除資格の見直しと第三者配置監督強化を柱とする別の規則案(規則整備タイトル「Reforming the H-1B Nonimmigrant Visa Classification Program」)を8月24日にOMBへ送付した。現行制度では大学、大学附属非営利法人、非営利・政府系研究機関はキャップ免除でH-1Bを活用できるが、新規則案はこの対象範囲を縮小する可能性がある。
また、H-1B労働者を自社以外の拠点で就労させる第三者配置については、既にバイデン政権期のH-1B近代化規則で要件が強化されていたが、今回はさらなる制限が加わる見通しだとされている。IT系コンサルタント企業や大手アウトソーシング企業への影響が特に大きいと指摘されている。
今回の一連の動きは、トランプ政権が推し進めるH-1Bプログラムの抜本的な見直し策の一環となる。大統領布告によって2025年9月から施行されていた10万ドルの申請手数料(一部に適用)は、2026年6月8日にマサチューセッツ州連邦地裁が「議会の委任を超えた課税」として無効と判決し現在停止中で、同年9月21日に布告自体も期限切れを迎える見通しとなっている。
今回の規則案は同布告とは法的根拠を異にする正式な行政手続きによるものであり、訴訟リスクを低減することを意図したものとみられているが、移民弁護士や業界団体は新たな法的異議申し立ての可能性も指摘しており、動向が注目される。
在米日系企業の人事・総務担当者としては、①現時点での費用発生はなくパブリックコメント期間中である点、②確定した場合はFY2028(2027年春の登録サイクル)分の申請から適用される見通しである点、③キャップ免除が縮小された場合は大学・研究機関経由の採用戦略の見直しが必要となる点、以上の3点を念頭に置いたうえで、移民法の専門弁護士と早めの対応策を検討することが推奨される。









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