2026年9月4日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領によって、米国の牧場主を支援するための包括的な施策を盛り込んだ大統領令に署名するという発表がありました。(大統領令全文|ファクトシート)
- 農務省・内務省・USTR・FDA・SBAに牧場主関連の規制・ガイダンスを90日以内に包括的に見直し、経営安定と市場アクセス促進の勧告を提出させるとしている。
- ハイイロオオカミ・メキシコオオカミの絶滅危惧種指定解除要件の充足を90日以内に判断させ、充足が確認されれば解除手続きを開始するとしている。
- 農務省長官に牛肉の原産地表示(COOL)義務化の法的権限・経済的影響を90日以内に分析させ、結果次第で規制改定または立法勧告を行うとしている。
大統領令はまず、米国の国内牛群が75年ぶりの低水準にある一方で牛肉の消費者需要が過去10年間で約10%増加したという現状を問題として掲げている。政権は前政権の環境規制や肥料コスト高騰が牧場主を苦しめてきたとの立場を示しており、今回の大統領令を「全政府的な取り組み」と位置づけているとしている。なお、牛群の減少については干ばつや山火事による牧草地の損失も一因として認めている。
最も注目を集めているのはハイイロオオカミ(グレーウルフ)とメキシコオオカミの絶滅危惧種指定の見直しだ。大統領令は内務省長官に対し90日以内に回復基準の充足を判断させ、基準が満たされていれば指定解除または格下げ手続きを開始するよう指示した。牧場主団体はオオカミによる家畜被害(デプリデーション)を長年の問題として訴えており、政権はオオカミの致死的駆除の認可基準緩和や州政府への指定解除促進の働きかけも指示したとしている。
一方、野生動物保護団体はオオカミの回復基準が満たされていないとして反対しており、指定解除が実際に進めば訴訟が予想されている。
牛肉の原産地表示(COOL:Country-of-Origin Labeling)義務化は、在米日系食品企業を含む食品流通業者にとって特に注目度の高い施策だ。米国は2015年に国際貿易機関(WTO)の裁定を受けてCOOL制度を一度廃止した経緯があり、義務化の復活は輸入牛肉のサプライチェーンに影響する可能性がある。大統領令は農務省長官に90日以内に法的権限と経済的影響を分析させる内容で、義務化が実際に実現するかどうかは今後の規制改定・立法手続きを経る必要があるとしている。
ファクトシートによれば、政権はこれ以前にも「Product of USA」ラベルの施行(2026年1月)、リン酸肥料の関税一時停止(2026年6月)、学校給食への米国産牛肉導入拡大の「Harvest to Hallways」イニシアチブ(2026年8月)など複数の農業支援策を実施してきたとしている。今回の大統領令はそうした一連の施策の延長線上に位置づけられており、90日後の各省庁からの報告書提出が次の政策具体化の焦点となる。















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