2026年7月、OpenAI, Inc.によって、ChatGPTの業務利用が職種の境界をどのように変えつつあるかを分析したレポート「Work at the Frontier」が公開されました。80万件超の業務関連メッセージを分析した結果、職種特化のやり取りの43.5%が、本来は他の職種に紐づく作業に関するものだったという知見が示されています。(レポート)
- OpenAIがAIの業務利用により職種の境界を越える作業が増えていると分析した。
- 職種特化メッセージの43.5%が本来は他職種に紐づく作業だった。
- マーケティングと工学の作業が他職種へ広く波及し小規模企業ほど越境が多い。
OpenAIは7月、経済リサーチの一環として、ChatGPTの業務利用が職種の境界をどう変えつつあるかを分析したレポート「Work at the Frontier」を公開した。分析は、米国のChatGPT Businessアカウントで職種が把握できる利用者について、個人アカウントで送られた80万件超の業務関連メッセージを対象とし、各メッセージの作業内容を米労働省の職業データベース「O*NET」に照らして分類したものだ。
レポートによると、業務関連メッセージ全体の16.8%が、本来は他の職種に紐づく作業に関するものだった。一般的な作業(メール作成や日程調整など、多くの職種に共通するもの)を除いた「職種特化」のメッセージに限ると、その割合は43.5%に達する。つまり、AIを使うことで、利用者は自分の職務範囲を超えた作業にも取り組んでいるという。OpenAIはこの現象を「タスク・クロスオーバー(職種を越えた作業の移動)」と呼んでいる。
分析対象は、カスタマー対応・デザイン・エンジニアリング・財務・人事・法務・マーケティング・営業の8職種。職種特化メッセージのうち他職種の作業が占める割合は、カスタマー対応で77%、デザインで75%、人事で69%と高く、8職種中5つで過半数を占めた。作業の「移動」には方向性があり、マーケティングやエンジニアリングの作業は他職種の利用者に幅広く波及する一方、デザイン・営業・人事の利用者は他職種の作業をAIで手がける傾向が強い。
こうした傾向は、小規模な職場ほど強く表れた。中程度の利用者では、2〜5席の職場で越境作業の割合が18.9%だったのに対し、101席以上では16.3%にとどまった。専門職の同僚が身近にいない小規模組織ほど、利用者がAIを使って自分の業務範囲を広げている可能性を示している。
OpenAIは、この結果はAIによる職種の変化を示すものである一方、職種そのものが消えることを意味しないと指摘する。AIによって門外漢でも作業に着手しやすくなる一方、専門家による高度な判断やレビューは引き続き重要だとしている。また、本調査は記述的なもので、雇用や生産性への影響を推計するものではないと但し書きを添えている。人事・組織運営の観点からは、従来の職務範囲を超えたAI活用が定着した場合、成果物のレビュー体制や説明責任の仕組みづくりが今後の課題となりそうだ。















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